逃げる

ヤルオとDioは逃げるようです

 人類諸国と魔族が版図を争う世界。人間であった主人公やる夫は、何者かに襲われ吸血鬼となってしまった。そして謎の魔王Dioとの融合。反逆者として手配され戦乱の大地を北へと逃げ、騒乱に巻き込まれていく。

 新たなる地での出会い、降りかかる苦難、己の信じた道を往く真っ当さ、諦めない心、逆境での活躍、明かされていく過去……、と、とても主人公主人公してる作品。今どき逆に珍しいようにも思える真っ当で少年誌的な(というには少しばかり展開がハード過ぎるが)骨太の王道ストーリー。

 ……と思ったのに、それは序盤だけだった。群像劇とまでは言わないが、主人公が登場せず他視点で語られるその後の展開。そいつらの方がよっぽど主人公してて、むしろやる夫がヒロイン。謎の過去と一連の自体のキーマンという役割的にも謎のヒロインポジ。そしてやる夫のヒロインは、DIO様にザ・ワールドにクック先生という始末……。

 

 読者的には見えてるが登場人物視点では見えていない設定伏線予想される未来なんかが、さくさく明かされて早いテンポで話が進んでいくのに、それ以上にさりげない描写や伏線で二転三転ひっくり返され先が読めない展開。AA描写がまたすごいんだ。慣れてるからこそ細部まで拘わらずにさっさと読み進めていると、AAにはきっちりさりげない描写が紛れていて、後でびっくりさせられる。

 10話くらいまで追って続き読んでなかったのだが、話が進むにつれ不穏な展開で、続きが楽しみで御座いまする。結構な分量で現行27話。