象の物語

気がついたら転生した魔法使いでした(または、とある象の物語)

 異世界転生モノ――言葉の意味合いからすれば補足無しにその通りなんだけれど、正確に伝えようとするなら「異世界転生」の逆パターン。ファンタジー世界の魔法使いが転生してこちらの世界に。カルチャーギャップによるドタバタとかこっそり魔法を使って無双とかそういう展開はなく、主人公・高梨遙の日常生活と、だんだんと思い出されていく前世ユスティナの記憶が並行して語られる。

 とまあ、これだけなら前世は前世・今世は今世とたいしたお話にもならないのだけれど、そうはいかない。勇者パーティーとして活動していた前世の仲間たちと、今世の生徒会役員の仲間たちがどこか似ていたり、主人公の前世の名前であるユスティナという単語がこちらでも重要な意味合いを持っていたり、と。話が進むにつれて前世と今世が重なりあっていくような展開で、どんどん続きを読みたくなる、そういう話でした。全85話完結済。

 

 転生モノって題材はともかく、それ以外はあまりなろうっぽくない話なんだけど。特に、異世界間の言語の翻訳の問題に言及しているあたりとか特に。

 例えば――先人に敬意を表し――あの世界の特殊なトンボのことを、私が最終的に「シリキレ・トンボ」と理解したとしよう。この場合、当然だが日本語の慣用句「尻切れ蜻蛉」との間には、何の関係もない。

 だがここで、一旦そのトンボのことを「シリキレ・トンボ」と理解したが最後、ユスティナたちが会話の中で「それはシリキレ・トンボだ」と言った時、果たしてそれが生物のトンボを指しているのか、それとも「中途半端な終わり方だ」と言っているのか、即座に判断がつきかねることがある。

――中間報告

 まあ本筋とはそこまで関係ない与太の部分だけれど、こういうシニカルな自己ツッコミあると一気に魅力が増すというところでして。

両天秤

ぼくは異世界で付与魔法と召喚魔法を天秤にかける

 学校丸ごとファンタジー世界に転移。ただしモンスターに襲われているホットスタートというか、蹂躙される凄惨な状況に。運良くスキルを得た主人公は、リーダーとして生き残りを率いることとなる。

 モンスターとの戦闘描写がメインで、結構ハードモード。ガンガンLv上がって強くなるけれども、敵も強敵に。しかし、限られた戦力で先も見据えつつどう敵に立ち向かうか?という序盤が一番面白いかなあ。作中時間で言うと3日目前半まで。こういった作品系統の宿命のような気もするけどね。あとは、白い部屋システムが戦略性出て面白かった。

 250話完結済。そして、冊数それなりに出してるラノベ作家の別名義だったそうで(それ見て読んだんだけれど)。きちんと展開畳んでお話を終わらせられるところは、なるほど流石だなあと。

最果て

最果てのパラディン

 異世界転生ファンタジーモノ。幼いうちから凄腕の戦士と魔法使いと敬虔な神官に育て鍛えられた主人公が世界を旅して回る――と説明すると、ひと山幾らのありふれたテンプレ作品にしか見えない。その要約は間違いではないけれど、それよりむしろ、古典的なハイファンタジー、と評した方が適切。悪なる神の部下による破壊で一気に文明が衰退した世界。廃墟となった都市でスケルトン・ミイラ・ゴーストの不死者3人に育てられた主人公は、神に誓った使命を果たすべく、世界へ出て行き奮闘する。という典型的な英雄譚。

 雑に言うと、なろうっぽくない重厚な古典的ハイファンタジー。2章以降は軽めになるけど。そこに異世界転生ぶちこむことで、流行り要素とちょっとしたアクセントを加えつつ、簡便な説明を可能にしたってとこかな。転生も、知識チートとかそこらへんはなくて、主人公の動機付けって部分がほとんどだし。普通にラノベでありそうというより、ハードカバーの単行本で出てそうな感じ。現行4章計131話。

 

 そういや、神々とか祝祷術――神聖魔法なんかが一番わかりやすいけど、もろにソード・ワールド2.0を参考にしてるような気のせいかな気のせいじゃないよね。いやまあ狭い知識の範囲にたまたま引っかかっただけなんだけど。そういう視点で――SWの世界観を借りた二次創作として、読むのも面白い。Lv14の神官戦士でソーサラー・コンジャラー・エンハンサーも高Lvで持ってると。……って、書籍化でイラストレーターがSW2.0の表紙と同じ人ね、ハイ、それはまたなんとも結構なことで。

牌に愛された

やえ「牌に愛された子か……」

 小走やえ先輩かわいい!

 咲SS。憧が阿知賀ではなく晩成に進学したというIFで、晩成が活躍する話。やえ先輩はともかく他の晩成面子はオリ設定でしかないんだけど、それでも面白いもんは面白い。これ読んですっかりやえ先輩贔屓になってしまった。同作者の他の晩成メインの話もなかなか。

 

 しかし、出オチなネタ力の強さに反して実はやえパイセン強いんだよ*1ってのはあるわけだが、実は全国トップクラスの打ち手ですっていう「小走やえ最強説」いくつかあって、流石にどうなんだろう。……いいぞもっとやれ。まあどこの二次界隈でもあるよね。そういった類の話は、個人の解釈で原作設定を塗り返す力作が多いわけで、読んでる側としては楽しくて良し。

 同作者の、咲「お姉ちゃんまでプラマイゼロをやりだした」の後半に出てくるやえがそんな感じで、これが面白かったから同作者のを色々漁ったのでした。照が清澄に進学したってIFで、そこ以外は原作なぞりつつ全国からは斜め上の方向に。とても長いけどこれも非常に良い。

*1:リンク先に詳しいが、初見のクロチャー相手=一切能力の情報無し・ドラ無しの半荘で、24400点稼いでるわけで。

ダッツ

ダッツ劇場

 金策読んだ流れで、なんか色々あったので。全部は読んでないけれど。んー、2015年夏以降のはまとめにないのかな。wikiに情報まとまってる分、読むだけなら問題ないが。

 

スモーキンハーレム?

 大学に近いやる夫の部屋は友人たち4人の溜まり場になっていた。ただしその4人は全員イケメン美女。ほとんど酒飲んでるか煙草ふかしてるか麻雀してるかしながら馬鹿話してるだけの日常モノ。

 うらやましーなーやる夫もげろ。こういう学生生活と無縁だっただけに憧れるものはあるが、それと同時に絶対無理だとも思う。自分の部屋に他人いり浸りとか絶対たえられない。いま気づいたが、わりとルームシェア系統の話好物だな。自分じゃ無理だからの憧れか。

 46話で完結っぽい雰囲気。ラス1話まとめに無し。

 

 その他の作品で好みだったのは、シリーズモノなら「嫁武蔵*1、「猫かぶり言葉」*2、「魔法少女 サブカルなのは」*3あたりかな。嫁武蔵は、メイド自動人形の武蔵といちゃコラするだけ。猫かぶり言葉は、肉食系な言葉とR18ないちゃコラするだけ。サブカルなのはは、本篇展開なぞりつつサブカル面に堕ちたことから明後日の方向にに。

 単発の短篇だと、「悪の人材派遣会社」「宇宙人佐々木」なんかが良かった。

*1:最新23話。

*2:最新15話。14話以降、まとめなし。

*3:無印/EC/BP。EC10話以降、まとめなし。

世界樹上

世界樹の上に村を作ってみませんか

 異世界転生モノ。分類するなら内政系になるんだろうけど、舞台設定が奇抜で目が引かれる。タイトルの通り、地面ではなく超巨大な樹木の枝の上で生活をしているエルフ*1のお話。

 この設定から派生する世界観の作り込みがきっちりしていて面白いんだ。土が貴重品になるわけで、畑は巨大なプランター状に作られているとか。火災は致命的だから、恒常的に火を使うような施設には最難関の資格持ちが必要だとか。建物を建てるにしたって、枝の耐久性を考慮した荷重制限が必要で、街作りも担当する建築家はエリート職。さらに「建橋家」という建築家の上位職業があって、枝と枝を結ぶ橋を設計するのは彼らにしか出来ない。このように、一風変わったファンタジー世界。

 惜しむらくは、小説ということが弱点かなあ。文章だけじゃイメージしきれない世界を描いてるわけで、絵で示されたら半端なく面白いと思うのです*2。といっても、漫画にするにしたって街並みの描き込みが一定以上必要ってところだけでハードルが高いし、たぶん建築関係の知識も必須。作中の説明にどこまで妥当性があるかどうかはわからないけど、構造的にどうこうって踏み込んで語られてる分、知識なしに説得力のある絵は描けないように思える。それと、展開が早くてどんどんお話が進んでいくのも長所だろうけど、もう少しじっくり書き込んで読ませてほしいなあと思うところがないわけでもなく。それに耐えうるだけの設定であるわけで。

 現行で、最新は4章計100話オーバー、って毎日更新だから数増えるの早いな。

 

 メモ。「栄養失調覚悟で食費を切り詰めた場合一年間の食費が二人で鉄貨五十枚*3鉄貨五十枚で一人分の年間食費くらい。まぁ、ほぼ肉を食べずにかなり食い詰めての数字*4だから、鉄貨1枚=5000円~1万円弱くらい? 鉄貨1000枚=玉貨1枚=500万~1000万弱。しかし、最低額の通貨なのを踏まえると1000円くらいかなあ。それでも不便そうだけど。

 

追記(6/25)

 6/9更新分、全127話で完結。

 正直に言うなら、打ち切り食らったような終わりで肩すかし感がある。最終目標へのハードル高いのかと思ってたら、さらっと障碍もなくクリアしてしまって。ゴールへの期待を煽られる暇もなく、気づいたらゴールでした、といったところ。

 とはいえ、上で書いたように面白いからこそ、こういった細部をグチグチ言いたくなるというのは念押ししておきたいところ。変わった世界観が活かされているわけで、この舞台でもっと色々書けるだろうし、それが読みたかった。後日談とか予定してるようなので、それに期待。

*1:作品世界では、異種族とかもなく単なる人類という区分。長命だとか弓が得意とか「エルフ」的な特徴を持っている。

*2:適宜示される様式や名称で画像検索すれば、ある程度のイメージはできるが。

*3:1章1話

*4:1章2話

旅をする

旅をするために旅をするひとたち

 異世界召喚だけど、チートどころかそもそも言葉が通じませんでした奴隷としてこき使われてますという超ハードモード。まあ1話目で新しい主人を得て色々解決するわけだけど。そういうわけで、召喚モノというよりは普通のファンタジーっぽい雰囲気で今のご時世的には逆に新鮮。魔法だとかバトル展開とかもないしね。タイトル通り、船を作って大海原に乗り出し未だ見果てぬ国を目指してアレコレしていく。わかりやすくアツい展開!は控えめだけど、雰囲気がよくてしみじみと面白い。現行3章。

ゼ魔最ルA

ゼロの使い魔最終巻発売決定記念にせっかくだからゼロの使い魔のループものをAAでやってみる

 爺婆になったサイトやルイズたちが若い頃に戻って2周目やり直し。

 異世界転生とかの流行でめっきりなくなってしまった逆行モノの作品。実は「逆行」と銘打った作品を読むのは何気に初めて、のような気もする。しかしまあ、ループモノは読んでるか。力の入れどころとか見せ方は違うだろうけど親戚みたいなものでしょ。タイトルもそうだしw

 二次創作であって原作知識前提で進んでるけど、原作知らなくてもそれなりに楽しく読める。現実世界パートよりもルイズ世界の方が楽しいかな。……しかしこれ読んでじゃあ原作読んでみようかというと、うん。ガバガバファンタジー過ぎぃ! 二次とか妄想のネタにする分には楽しいだろうけど。最新61話の現行。

 

 しかし、逆行に対して異世界転生が上位互換な部分もあるみたいだが、これはこれで面白いというか違った面白さはあるなあ。転生系統は「新しい人生やり直し!折角だからがんばるぞ!」で、なんというか来世というか第二の人生的なニュアンス。それに対して、逆行は「これまで生きてきた人生のやり直し」なわけで、あくまで今世なのよね。イチからやり直しと過去に戻ってやり直しの違いというか。どちらも2回目なのに違いはないけど、自分の人生の今世の分必死感が違う、ように思える。

 まあ逆行、ループ、憑依、転生、召喚だろうと、そこらへんのジャンル区別については、既にある作品を楽しむ分にはなんでもいいのだが。共通している要素はあるし、個々の作品によって何がしたいのかはまた違うしねえ。

金策俺魔邪

やる夫は目的の為、金策に奔走するようです

 メガテンもの。組織に所属するダークサマナーやる夫が、上司の無茶振りで金稼ぎのために色々と仕事をこなしていく話。裏社会を舞台にしたアレコレというか、ハードボイルドと評するのが適切かな。新展開にはいって続きが気になるところだったが、残念ながらエター。

 

俺が魔王で、あいつが邪神

 異世界召喚モノ。主人公の死刑囚キル夫は刑執行の直前、魔族を司る邪神ニャル子に、魔王として召喚される。魔族といっても人間と敵対するモンスターっていうよりは異種族・異人種ってところで、抑圧されてる魔族を解放し、能力+現代知識チートで俺たちの国を作るぜヒャッハー!みたいな。細けーことはいーんだよ面白くてノリが良ければいーだろ!みたいな。下ネタお下品な会話満載だけど。R18(笑)

雑記

 気がついたらすっかり間が空いてしまった。……だなんて、一昔前の日記ブログなような書き出しとか内容とか捨て去って坦々と作品の感想だけで埋めていきたいんだけど、なかなかそういうわけにはいかないねえ。忘れないうちにちまちま書くようにはしたい。

 

 忘れそうなので、空白期間のメモ。

 1月:年始にごっそり買ったエロゲに手をつける。向。→ 1月下旬:急に忙しくなりそのまま忙しいことがわかっていた2月へ。→ 3月~4月:再開する気が起きず、やる夫とかなろうを適当に。邪神官・サークラ。→ 4月:元ネタにちゃんと触れてみよう月間(気分)で、なのは一期視聴。→ 4~5月:たまたま見た咲SSから、アニメ・考察・二次をがっつり追い直す。→ 最近:GuP再上映するんだって? 見てみるかー。それと、艦これ春イベ。

 劇場版がはじまってから話題を見る機会増えた印象あるんだけど(それ以前はいないわけではなかったと思うが、劇場版後ドはまりしてる人が結構)、それ納得だわ。というのが1話冒頭で実感。単純に、大音量の低音と行進曲って昂揚するんだよね。だから劇場版で火がついたのは腑に落ちる。4DXやら爆音上映やらが映えるのもわかる。上映終わる前に見に行かないと。