世界樹上

世界樹の上に村を作ってみませんか

 異世界転生モノ。分類するなら内政系になるんだろうけど、舞台設定が奇抜で目が引かれる。タイトルの通り、地面ではなく超巨大な樹木の枝の上で生活をしているエルフ*1のお話。

 この設定から派生する世界観の作り込みがきっちりしていて面白いんだ。土が貴重品になるわけで、畑は巨大なプランター状に作られているとか。火災は致命的だから、恒常的に火を使うような施設には最難関の資格持ちが必要だとか。建物を建てるにしたって、枝の耐久性を考慮した荷重制限が必要で、街作りも担当する建築家はエリート職。さらに「建橋家」という建築家の上位職業があって、枝と枝を結ぶ橋を設計するのは彼らにしか出来ない。このように、一風変わったファンタジー世界。

 惜しむらくは、小説ということが弱点かなあ。文章だけじゃイメージしきれない世界を描いてるわけで、絵で示されたら半端なく面白いと思うのです*2。といっても、漫画にするにしたって街並みの描き込みが一定以上必要ってところだけでハードルが高いし、たぶん建築関係の知識も必須。作中の説明にどこまで妥当性があるかどうかはわからないけど、構造的にどうこうって踏み込んで語られてる分、知識なしに説得力のある絵は描けないように思える。それと、展開が早くてどんどんお話が進んでいくのも長所だろうけど、もう少しじっくり書き込んで読ませてほしいなあと思うところがないわけでもなく。それに耐えうるだけの設定であるわけで。

 現行で、最新は4章計100話オーバー、って毎日更新だから数増えるの早いな。

 

 メモ。「栄養失調覚悟で食費を切り詰めた場合一年間の食費が二人で鉄貨五十枚*3鉄貨五十枚で一人分の年間食費くらい。まぁ、ほぼ肉を食べずにかなり食い詰めての数字*4だから、鉄貨1枚=5000円~1万円弱くらい? 鉄貨1000枚=玉貨1枚=500万~1000万弱。しかし、最低額の通貨なのを踏まえると1000円くらいかなあ。それでも不便そうだけど。

 

追記(6/25)

 6/9更新分、全127話で完結。

 正直に言うなら、打ち切り食らったような終わりで肩すかし感がある。最終目標へのハードル高いのかと思ってたら、さらっと障碍もなくクリアしてしまって。ゴールへの期待を煽られる暇もなく、気づいたらゴールでした、といったところ。

 とはいえ、上で書いたように面白いからこそ、こういった細部をグチグチ言いたくなるというのは念押ししておきたいところ。変わった世界観が活かされているわけで、この舞台でもっと色々書けるだろうし、それが読みたかった。後日談とか予定してるようなので、それに期待。

*1:作品世界では、異種族とかもなく単なる人類という区分。長命だとか弓が得意とか「エルフ」的な特徴を持っている。

*2:適宜示される様式や名称で画像検索すれば、ある程度のイメージはできるが。

*3:1章1話

*4:1章2話