逃げる

ヤルオとDioは逃げるようです

 人類諸国と魔族が版図を争う世界。人間であった主人公やる夫は、何者かに襲われ吸血鬼となってしまった。そして謎の魔王Dioとの融合。反逆者として手配され戦乱の大地を北へと逃げ、騒乱に巻き込まれていく。

 新たなる地での出会い、降りかかる苦難、己の信じた道を往く真っ当さ、諦めない心、逆境での活躍、明かされていく過去……、と、とても主人公主人公してる作品。今どき逆に珍しいようにも思える真っ当で少年誌的な(というには少しばかり展開がハード過ぎるが)骨太の王道ストーリー。

 ……と思ったのに、それは序盤だけだった。群像劇とまでは言わないが、主人公が登場せず他視点で語られるその後の展開。そいつらの方がよっぽど主人公してて、むしろやる夫がヒロイン。謎の過去と一連の自体のキーマンという役割的にも謎のヒロインポジ。そしてやる夫のヒロインは、DIO様にザ・ワールドにクック先生という始末……。

 

 読者的には見えてるが登場人物視点では見えていない設定伏線予想される未来なんかが、さくさく明かされて早いテンポで話が進んでいくのに、それ以上にさりげない描写や伏線で二転三転ひっくり返され先が読めない展開。AA描写がまたすごいんだ。慣れてるからこそ細部まで拘わらずにさっさと読み進めていると、AAにはきっちりさりげない描写が紛れていて、後でびっくりさせられる。

 10話くらいまで追って続き読んでなかったのだが、話が進むにつれ不穏な展開で、続きが楽しみで御座いまする。結構な分量で現行27話。

ユリタニア

ユリタニアの迷宮

 百合ハーレムなダンジョン攻略安価スレ。攻略よりは、主人公のドSキョン子とロリめでだいたいドMか変態なヒロイン達(メイン3人+サブ多数)の百合ハーレム日常メインかなあ。攻略やステ成長は運(ダイス目)の要素がかなり大きくて、最適解な安価取って攻略目指すというのは難しいというかそういうシステムじゃない。

 というのも、前作*1までは攻略のために日常パートも全て捧げよ的な感じで、日毎のヒロイン選択やフレーバー要素になりそうなところまで攻略優先というか、好みのスナイプで荒れていたわけで。それもエターの遠因ではあるだろうので、この方針転換は嬉しいかな。長く続いてくれることを期待。前作のがっちがちなシステムも面白かったけどね。安価スレ向きでは全くないと思うが。普通にゲームならやりたい。周回前提のような作り込み具合だし。

 話戻して今作についてだけれど、そんなわけでかなりの部分がダイス目に左右されるシステムだし、成長関連もフレーバー要素強いし、好きなキャラの安価ガンガン狙ってってもそこまで問題にはならなそうだしで、安価スレというよりは普通のスレ的に読んでも楽しい。正直、コメディノリのセリフ周りがだいぶ上手くなってる印象。特に冒頭のルル絡み。

 現行2スレ目・作中時間21日現在。まとめがなくスレ直なので、専ブラ閲覧を強く推奨。

 ちな、即興短篇は2つめ「最後の錬金術師」(1スレ>>6771-)と、1つめ「ノアの箱庭」(1スレ>>4862-)が好みかなあ。こっちは割りとなろう系。

*1:酉を変えての新規だから過去作の名前を出すなとのことだけど、存在自体を隠してるわけではないみたいだし、話題には出す。

月水諸々1

 前回のリリィナイト記事内で、過去作品も世界観を同じくしている、と書きました。

 ……買っちゃいました。セール中というのもあって全作揃えちゃいました。そんなわけで、追々感想書いていこうかと。タグも新設。

 

苗床DG

 新作「苗床デモンズグラウンド」の体験版が11/3に公開。苗床DCと同系統で、システム的には洗練されたリメイク版といったところ。詳しくは苗床DCの際に回すが、新作を先にやったが故に、システムその他諸々で旧作が辛いというのは正直あるところ。なんにせよ、完成が楽しみ。それまでに過去作全部終わるかな?

 

ちょっとびっくり

 ぴくしぶで検索してみると、いくつかイラストがヒットする。その中に、二次創作ではなくオリジナル(一次創作/原作)のキャララフ絵がある。投稿者名は城之崎となっており、名前が違うのであれ?となるが、EDのクレジットにイラスト担当として名前載ってるし、サークルサイトでもスタッフとして記載されてる。

 で、何に驚いたのかというと。

 城之崎氏の出した同人誌持ってるんですよ、はい。特徴的なPNでもないため気付いていなかったが、以前から(一方的だけど)知っていた名前が結びついたわけですよ。まあそれだけだが、ひとりで非っ常に驚いた、という話でした。

 ちなみに。苗床DG新キャラのラフなんかもありますね。ゲームであるため当然ではあるが、投稿日時を見ると制作期間の長さが窺われて感歎の息をつくしかできない。

リリィナイト

リリィナイト・サーガ ~少女騎士と魔触の紋章~

 同人サークル月の水企画。上のリンク先はDLsiteの特設。

 非常に完成度が高い作品。エロとか抜きでRPGゲームとして充分面白い。RPGには、システム、バランス、シナリオ、グラフィック、音楽……など色々な要素がある。どれか一要素でも、無条件で絶賛できるような突き抜けた素晴らしさがあるわけではない。しかし、プレイしてて特にストレスを感じるところも悪い意味でひっかかるところもほとんどない*1。するっと楽しめてしまう。減点箇所が少なく総合的に高水準でまとまっているというのは、特に同人においては、珍しい作品なのではないでだろうか。

 あらすじや、その他魅力については、熱のはいった長文で紹介されてる方がいるので、そちらを読んでもらうのがよく伝わるかと(手抜き)。

 

仲間とパーティー編成。

 主人公の武器(職業)はゲーム開始時に選択で変更不可。パーティーメンバーは、24人*2から4人選び、主人公を加えた5人パーティー。どの武器選んでもどのメンバーが好みだろうとも活躍できる、って点がとてもいい。あからさまに上位互換な強キャラがいない。キャラ2人くらいは好みでいれても、残りの2名でバランス取ればどうとでもなる。

プレイ時間。

 Normalで本篇ラスボスクリアまで40時間くらいかかった。ただ、イベント全部拾ったり、町人との会話全部見たり、錬金楽しくて延々素材集めしてたり、その結果ラスボス楽勝なくらいにレベル上がったりしたり。なので攻略Wiki見て効率的にやれば、たぶん半分くらいの時間で終わるかな。

 

 過去作品も世界観を同じくしていて、登場済みだったがようやく今作で仲間になったキャラなんてのもあるらしいので、そのうち他の作品もやろうかと。また、新作も近日発表予定とのことで、そちらも楽しみ。

 以下、萌え語りとエロ周りについて少し。

*1:属性攻撃・状態異常やその耐性がわかりにくいくらい。

*2:本篇クリア後には36人。

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七日

彼女と彼女と私の七日

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 同人サークルLilies Projectによる無料公開のエロゲ*1

 お話の筋自体は、腹を割って話すことで過去のトラウマ的なものが払拭されたり仲が深まったり、騒動を乗り越えなんやかんやで成長しました、今日からまた前向きに進んでいきましょう、未来は明るいぞー!といった感じのよくあるタイプ。無難というか、やや説教くさくてまあありきたり。

 が、正直そこはどうでもよくて、特筆すべき点は他にある。

 

 この作品を一言で表すとしたら、「正しい」百合普及作品、かなあ。

 あらすじとして言い直すなら、異性愛者だった主人公が、同性の相手への恋心を自覚して結ばれる話。それだけなら似たような作品も多数あるのだろうきっと。ただし、上で「正しい」と評したところがミソ。同性愛が「アリエナイ」ものや「おかしい」ものや「キモチワルイ」ものとして描かれているわけでもなく、だからこそ「悖徳感」があってそれがいいと描かれているわけでもなく、ごく自然に性別など関係なく、ただ恋を自覚することを描いている。一見普通に見えるけど、これはちょっと特異な作品なのではないだろうか。とりたて百合モノに造詣が深いわけではないのでなんともだが*2。一応、恋心を自覚してから(社会的に)マイノリティとなることの葛藤を覚えるようなシーンはあった、と思う。が、それはあって然るべきかと。

 異性愛を「NL」ジャンルと表現したり、あるいは「ノーマル」という用語を使ったりすることに、抵抗があるという人にはお薦めできる内容。というかNLとかノーマルとか使うのやめようよマジで。使ってる人にイチイチ噛み付いてくほど頭のネジが飛んでないし会話じゃさらっと流してしまうだろうけど、それでも個人的には心がけているし一応たまには片隅で主張しておこうかと。

 

 手軽な百合入門で布教用としては非常に有用。無料公開というのが更にドン。プレイ時間は公式曰く、ボイス全部聞いて10時間、飛ばして6~8時間とのこと。4時間半で読んじまいましたが。

 以下、蛇足とか萌え語り。

*1:終盤にルート分岐の選択が1つあるだけのほぼ一本道。

*2:男性がほぼ登場せず女性同士でくっつくのが当然みたいな某ジャンルとか某ジャンルでは、同様のものをそれなりに読んでる気もする。がまあ別の話だね。

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のなぷる

TS:NONUPLE NINE (体験版2015夏)

 無機質な研究室で目を覚ます主人公。一切の記憶がなく、強制的に「記憶回復プログラム」なるものの被験者にされる。その方法は、エロい行為で快感を得ること。研究室を抜け出し、同様に先に逃げていた被験者との合流及び脱出を目指して、閉じ込められた無人のビルを探索する。そうして少しづつ戻っていく記憶と(PV等メタ視点で提示されている)頭部破裂事件やこの会社を取り巻く状況とが繋がって謎が明かされていく――。

 さらに。多少ネタバレにはなるが、特設サイトに普通に書かれているので触れると。

 被験者の一挙一動はドローンを通じてリアルタイムで「観測者」に観察されていて、それがまあプレイヤーに当たるわけだ。しかし、その観測者(=プレイヤー)自身も記憶を失いモニタールームに軟禁されていることが明かされる。一方的に囚われている少女を窃視してるかと思いきや、自分自身もまた囚われていたという皮肉。少女が完全に記憶を取り戻せるか否かは、ただの他人事ではなく自らの安否にも繋がる事態となる。

 

 「横スクロール探索型アドベンチャー」というフレコミだが、プレイ感は所謂脱出ゲームに近い。といっても、クリックできる箇所はわかりやすく表示されるし、謎解き要素があるわけでもなく総当たりでやってけば話は進んでいく。クリック毎に会話が表示され、多量の生物学数学辺りの蘊蓄や真相に繋がるであろう断片をひたすら読み進めていくことがメイン。

 気になったのは2点。1点目、セーブ周り。セーブが自由にできず、下手すると間隔が1時間以上空いて気軽に止められない。セーブスロットにもセーブ箇所の名称が表示されなくてわかりにくいというのも。2点目、既読会話のスキップがなく非常に不便。誤クリックや内容が変化してないかの確認等も多いわけで、ひとつふたつなら兎も角長々とした会話箇所がつらい。

 

 エロについては、うん……。素っ裸の少女が人目も気にせず無人のビルをうろつくというシチュエーションや、歩くのに合わせてぷるんぷるんと揺れるモーションなど、そそられるものは多大にあるのだが。ミニゲームになっていてそれどころではないのと、エロシーン=記憶が戻って少しづつ状況が判明していくわけで、楽しみより緊迫感が強くて、なんというか、ハイ。

 ともあれ、エロを期待する作品ではなく、引き込まれるストーリーを楽しむべき作品。サスペンスというかホラーというか。あとグラフィックや演出もすごい。同人なのに、という前置きは失礼かもしれないが、クオリティがとても高く完成が楽しみ。体験版2015夏verが公開中。じっくりやって8時間程度だったか。この時点でかなりのボリューム。

賢者弟子混浴

賢者の弟子を名乗る賢者

 VRゲームが現実になってしまった系。主人公は威厳溢れる老魔法使いちっくなアバターを使用していたが、間の悪いことに事が起こったのは、ロリ少女アバターの作成中。しかも記憶していた日時より30年の時間が過ぎていた。国王を務めている友人のプレイヤーに頼まれ、偉大な老賢者の弟子を名乗り世界各地を駆け巡る。

 古参の有名プレイヤーだったこともあり、割りとチート気味。生存がどうこうとか現実への帰還がどうこうとかそういうシリアス成分は全くなく、中世ファンタジーをベースにした世界を楽しめる。ゲーム由来なんで発達していてそこそこ何でもアリ。キャラが活き活きとしていて非常に良い。現行124話。

 

異世界混浴物語

 魔王を倒すべく異世界へと召喚された主人公。目覚めたチート魔法は、専用のバスルームを作り出すものであった。……と、そんな感じの異世界召喚モノ。まったり商売系の方に進むのかと思いきや、これがかなり冒険者してる。特色ある国々の描写もあって、文章も丁寧で面白い。現行4章。

星降る楽屋

やらない夫の星降る夜のモーニング

 作風、配役、キャラ付けや特技やら過去エピソードから、やら月~をかなーり意識したような作品だが*1、別に肝となるネタをぱくってるわけじゃないし、この作品なりの味があって面白いのでこれはこれでいいんじゃないでしょうか。オタ趣味語り多めのアホでgdgdな日常系。完結済。

エーリカたちが楽屋トークをするようです

 上と同作者。AAキャラが実際に役者としてスレに出演している、という体でのハイテンション楽屋トーク。おおメタいメタい。エーリカマジフリーダムもといエーリカマジ天使。

*1:作者は別人っぽいが、最初は別名義かと疑った。あるいは、元ネタ人物が共通――要するに作者同士がリアル友人という可能性。これも違うようだが。

レトロゲー

やる夫たちはちょっとレトロなゲームで遊ぶようです

 レトロゲー(+小説漫画なども)の紹介。主に90年代のSFC~初代PS・SSの時代で、有名作ではなくマイナーだけど面白い、というのが中心。ストーリー形式で実際にそのゲームを遊びつつ紹介といった体で、ゲーム本篇の冒頭やプロローグなんかもAAつけて再現されたりしている。

 これで紹介されている数十本のゲームは、実際どれもやったことないし、それ以前に同世代でオタクやってる人ならプレイしてるのが大半であろう有名ゲームですら碌にやってない。それでも、これ見てると面白そうだなーって思うしやりたくなるのよね。それだけ紹介のされ方が魅力的だし、紹介されてるゲーム自体も名作なんでしょう。興味の持たせ方がかなりすごい。

 さらに、「どちらかというと学ぶ系なのに」という前置きを使っては失礼かもしれないが、ストーリーパートも地味に面白い。まずキャラが立っているし、おまけのアフターストーリーもそこまでの描写の積み重ねがあるとはいえ中々に。よくよく思い返してみれば「やる夫は神の暇つぶしでテンプレチート異世界転生をするようです」の同作者で、その別作品を~って流れで読んだから自明といえば自明だったかもしれない。