のなぷる

TS:NONUPLE NINE (体験版2015夏)

 無機質な研究室で目を覚ます主人公。一切の記憶がなく、強制的に「記憶回復プログラム」なるものの被験者にされる。その方法は、エロい行為で快感を得ること。研究室を抜け出し、同様に先に逃げていた被験者との合流及び脱出を目指して、閉じ込められた無人のビルを探索する。そうして少しづつ戻っていく記憶と(PV等メタ視点で提示されている)頭部破裂事件やこの会社を取り巻く状況とが繋がって謎が明かされていく――。

 さらに。多少ネタバレにはなるが、特設サイトに普通に書かれているので触れると。

 被験者の一挙一動はドローンを通じてリアルタイムで「観測者」に観察されていて、それがまあプレイヤーに当たるわけだ。しかし、その観測者(=プレイヤー)自身も記憶を失いモニタールームに軟禁されていることが明かされる。一方的に囚われている少女を窃視してるかと思いきや、自分自身もまた囚われていたという皮肉。少女が完全に記憶を取り戻せるか否かは、ただの他人事ではなく自らの安否にも繋がる事態となる。

 

 「横スクロール探索型アドベンチャー」というフレコミだが、プレイ感は所謂脱出ゲームに近い。といっても、クリックできる箇所はわかりやすく表示されるし、謎解き要素があるわけでもなく総当たりでやってけば話は進んでいく。クリック毎に会話が表示され、多量の生物学数学辺りの蘊蓄や真相に繋がるであろう断片をひたすら読み進めていくことがメイン。

 気になったのは2点。1点目、セーブ周り。セーブが自由にできず、下手すると間隔が1時間以上空いて気軽に止められない。セーブスロットにもセーブ箇所の名称が表示されなくてわかりにくいというのも。2点目、既読会話のスキップがなく非常に不便。誤クリックや内容が変化してないかの確認等も多いわけで、ひとつふたつなら兎も角長々とした会話箇所がつらい。

 

 エロについては、うん……。素っ裸の少女が人目も気にせず無人のビルをうろつくというシチュエーションや、歩くのに合わせてぷるんぷるんと揺れるモーションなど、そそられるものは多大にあるのだが。ミニゲームになっていてそれどころではないのと、エロシーン=記憶が戻って少しづつ状況が判明していくわけで、楽しみより緊迫感が強くて、なんというか、ハイ。

 ともあれ、エロを期待する作品ではなく、引き込まれるストーリーを楽しむべき作品。サスペンスというかホラーというか。あとグラフィックや演出もすごい。同人なのに、という前置きは失礼かもしれないが、クオリティがとても高く完成が楽しみ。体験版2015夏verが公開中。じっくりやって8時間程度だったか。この時点でかなりのボリューム。